水道水の危険性を考える上で、「鉛」は非常に重大な問題です。

水道水には「塩素」や「トリハロメタン」が含まれていることが有名ですが、実は「鉛」が含まれている可能性もあるのです。

ではどのような場合に水道水に「鉛」が含まれてしまっているのでしょうか。

水道水に鉛が含まれているの?

厚生労働省は、平成15年度4月1日から水道水中の鉛の基準を、WHO(世界保健機関)の「飲料水の水質ガイドライン」にあわせて0.05mg/l以下から0.01mg/l以下へと強化しました。

水道水は川や湖の水など取水して、それを浄化施設で殺菌・消毒したあとに私たちの家庭に届きます。

この殺菌・消毒した時点では、ほとんど「鉛」は含まれていないといってもいいのですが、私たち家庭の蛇口をひねる際に「鉛」が含まれてしまっている可能性があるのです。

実は日本では水道管に鉛管という鉛の管が、止水栓などの給水管に使われていた時期がありました。

現在では硬質塩化ビニール管やポリエチレン管などにほとんどが取り換えられているのですが、宅地内(家庭内)の水道管にはいまだに鉛管が多く使われているというのが現状です。

水道水自体に「鉛」が含まれているというよりも、この鉛管から溶け出した「鉛」が各家庭の蛇口から出てきてしまうということです。

「鉛」による健康被害

アメリカで起こった事例

2016年の1月に米中西部ミシガン州フリント市で「鉛」による健康被害が引き起こされ、このニュースは世界中で報道されました。

フリント市はかつて自動車産業で栄えた町でした。しかし自動車産業が衰退していくにしたがって町の財政状況も厳しくなってきました。そこでフリント市は経費削減のために、水源をフリント川に変更したのです。

その後すぐに市民から、「水道水からの異臭がする」「体に発疹ができた」などという健康被害の報告が次々と寄せられました。

さらに子供らの血液から高濃度の鉛が検出される事態にまで被害は発展していきました。

このフリント市の鉛被害は、水道管に含まれた「鉛」が溶け出した可能性が高いと考えられています。

水源となったフリント川の水は、非常に腐食性が高い水だったせいで、「鉛」が溶け出してしまったのです。

「鉛」による健康被害の具体例

幼児・小児
⇒知能指数低下・発達退行・神経障害・発作性疾患・貧血・注意力が持続しないなど

成人
⇒貧血・不妊・勃起障害・頭痛・脱力・人格の変化など

さらに胎児では、子宮内鉛曝露量が多いほど出生時の体重が低いとする研究もあるそうです。

水道水に含まれる「鉛」により急性の健康被害が起こることはほとんどないと思われます。しかし胎児や子供などに知らぬ間に悪影響を与えてしまう可能性があるので注意が必要となります。

水道水の鉛を除去する方法

このような健康被害をもたらす水道水の「鉛」は、どのようにして除去すればいいのでしょうか。

鉛が水道水に溶け出すのはいつ?

まず考えなければいけないのは、「鉛」は鉛管から溶け出すもので水道水自体には含まれているものではないということです。

「鉛」はじわじわと水道水に溶け出す性質のものなので、給水管(鉛管)に長時間水が滞留しているときに危険性が増します。

具体的には、朝一番の水などは鉛管に滞留している水が蛇口から出てきますので、「鉛」が含まれている可能性が高いです。

また、旅行に行って帰ってきた時の水も同じく危険性があるといえるでしょう。

その他にも家族全員が日中家庭を留守にして何時間も水道水を使わない場合なども、危険性があるでしょう。

  • 朝一番の水
  • 日中留守にして長時間使用しなかった水
  • 旅行などに出掛け長時間使用しなかった水

このように長時間使用しなかった水道水は、給水管(鉛管)に滞留して「鉛」が溶け出してしまっている危険性がありますので、使わないようにする必要があります。

長時間というのはあいまいな基準ですが、おおむね6時間以上水道水を使わなかったときは注意が必要です。

反対に水道水を日中に頻繁に使用している場合などは、水が滞留している時間が短いので「鉛」が溶け出す心配をあまりする必要はないと思われます。

また、夏場など蛇口をひねると生暖かい水が出てくる時がありますよね。このような生暖かい水は給水管に滞留している水なので注意が必要となります。

こようなときはしばらくの間水を出し続けて、冷たい水に変わってから使用するようにしましょう。

鉛が溶け出した水はどうすればいいのか?

鉛が溶け出した水は、飲料水として使わないようにするしかありません。

具体的には、最初のバケツ1杯程度(量にすると約10リットルぐらいでしょうか)の水を飲料水としては使わないようにするということです。

飲料水以外の洗濯やトイレの水に使うのはそれほど問題はないようです。

ちょっともったいないですが、バケツ1杯程度の水なので捨ててしまうというのが現実的な方法ではないでしょうか。

また浄水器を使用するという方法もありますが、注意したいのはフィルターの交換です。

フィルターの交換を忘れてしまうと、「鉛」など有害物質を除去する効果がなくなってしまっているのでかなり危険です。

浄水器を使用する場合、フィルターの交換を絶対に忘れないように注意しましょう。

まとめ

日本では、給水管に鉛管と呼ばれる鉛の管が使われているケースがまだまだあります。

この鉛管から「鉛」が水道水に溶け出してしまっているのです。

朝起きて一番の水など、長時間(おおむね6時間程度)水道を使用しなかった場合、その水を飲料水に使用することはやめておきましょう。「鉛」が溶け出している可能性があります。

特に胎児や子供などに悪影響を及ぼすことがあるので、妊娠中・お子さんのいる家庭では十分に注意する必要があります。

妊娠中の胎児や子供たちには、できれば水道水以外の水を飲ませてあげたいものですね。